瀬戸璃子、森が海をつくる町・真鶴へ【後編】

瀬戸璃子、森が海をつくる町・真鶴へ【後編】

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若手の表現者が地球の美しさに出会う旅を通して、自身と地球の未来を考える連載「私の地球漂流記」。
神奈川県・真鶴での時間を経て、俳優・モデルの瀬戸璃子さんは何を感じ、どのように自分自身と向き合っているのか。後編では、車内での対話をもとに、俳優としての現在地や、未来の地球へのまなざしを辿ります。


「登山中」、俳優としての現在地

モデルとしてキャリアをスタートし、現在はMVやドラマ、映画などさまざまな現場で俳優としての活動をひろげている璃子さん。俳優を目指すきっかけになったのは、幼い頃に観たミュージカル『アニー』でした。

「観賞中に『私これ、めっちゃうまくできるわ』みたいな謎の確信が湧いてきて(笑)。私もあれが歌いたいし、踊りたいし、演じたい!と思ったのを覚えています」


小さい頃からずっと続けていたバレエと並行して、中高では演劇部に所属。

「プロのダンサーになりたいと思うくらいバレエも好きだったんですが、同じくらい食べることが大好きで、演じることの面白さに気づいたのもあり、この道を選びました」

今の自分を一言で表すなら?と聞くと、「登山中」と返してくれました。

「どんな俳優になりたいか、SNSとの距離感をどうしようか。悩みはたくさんあります。でも自分の考えを書き出したり、内省と表現を繰り返しながら、自分を磨いている最中です」
「これまでは、長く続けていたバレエや部活の影響もあって、我を出すことよりも全員が円滑にいくことを優先していました。でも新しい出会いを繰り返すうちに、自分自身の感情をより理解できるようになってきて、それが演技にも生きています」

モデルと俳優、どちらも続けていきたいと言う璃子さんは、その仕事を「天職」と言い切ります。その根底にあるのは、エンタメへの素直な信頼でした。

「エンタメのパワーを、私はすごく信じていて。ドラマを見てちょっと元気になるとか、週末が楽しみになるとか、映画を見て気分が変わるとか。みんなと元気で楽しく過ごしたいという思いが強いので、それがお仕事でも表現できるように頑張っています」

自分の演技が、知らない誰かに届き、前向きな気持ちや健康的な日々を作りだせたら。璃子さんの言葉には、明るさだけではない、真剣で真摯な思いが滲んでいます。

久しぶりの、何も考えない時間

真鶴での時間を、瀬戸璃子さんはこう振り返ります。

「久しぶりに、何も考えない時間を過ごしたと思います」

森を歩き、岩に寝転び、木に触れる。そのあいだ、頭の中にあったはずの思考は、どこかへ消えていたといいます。

「普段って、ずっと何か考えてるじゃないですか。過去や未来のこと、人のこと。今日はスマホも全く触らずに、ただ自然に包まれていた感覚でした」

忙しい時期が増えた現在、璃子さんは日常生活の中でも自分自身を調律できるようになってきたそう。

「お気に入りの銭湯で大きな石の上に座って水を感じたり、そのあとに木に抱きついたり(笑)。都会の中にも、意外と自然ってあるんですよね」

甘える心があったら、もっと平和かも

未来の地球がどんな世界になっていたらいいと思いますか? という問いに、璃子さんは「みんなが甘える心を持てる世界」と答えました。

「甘えるって、自分がどういうときに甘えたいかをわかることでもあると思うんです。『相手がいまサインを出しているから甘やかしてあげよう』みたいに、助け合いが自然とできる世界だといいなと思います。ずっと張り詰めていると、誰かに甘えられたときに受け止めきれず倒れてしまう。だからこそ、普段から甘え、甘えられる関係性ができていることが大切なんじゃないでしょうか」
「環境問題も、戦争や政治的な問題も、未来の地球に対し簡単に希望だけを語ることはできないのかもしれません。でも、友人や親、兄弟、関わってくれている人たちが、そして自分自身が、どんな歳の取り方をしていくのかは楽しみで仕方ありません。だからこそ、全力で頑張りたい。磨けば磨くほど自分のダメなところも見えてくるけれど、だからこそ、人にも優しくなれる気がするんです」

璃子さんの言う「甘える」は、ただ頼ることではなく、自分の状態をわかっていることなのかもしれません。自分を整えることは、誰かのしんどさに気づくための準備でもある──璃子さんの言葉は、そんなことを気づかせてくれます。

真鶴の岩に寝転び、木に抱きつき、海の音を聞いた日。地球の一部としてそこにいたこの日が、巡りめぐって誰かのためになる日がくるかもしれません。

瀬戸璃子の地球漂流記、完結です。


瀬戸璃子(せと・りこ)


2001年6月10日生まれ、24歳。食べることをこよなく愛する俳優、モデル。2023年にボックスコーポレーションに所属。モデルでは「ピンクハウス」や「シープ」のビジュアルを担当、映画「ボウルミーツガール」で主演を務め、MOOSIC LUB2025にてベストアクター賞、札幌国際短編映画祭にて最優秀国内作品賞を受賞。7月は舞台「七つ数えて」@新宿シアタートップスに立ち、8月に公開となった映画「結局珈琲」に須藤役で出演し、活動を広げている。

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