瀬戸璃子、森が海をつくる町・真鶴へ【前編】

瀬戸璃子、森が海をつくる町・真鶴へ【前編】

若手の表現者が地球の美しさに出会う旅を通して、自身と地球の未来を考える連載「私の地球漂流記」。

第1回は、都心から車で2時間ほどの神奈川県・真鶴へ。俳優・モデルの瀬戸璃子さんとともに、森と海とのつながりを直に感じられるこの土地を歩きながら、自然と身体の距離がゆるやかにほどけていく感覚を辿りました。


自分を取り戻すときはいつも海へ

MVや映画、モデルとしての撮影など、ここ最近ますます活動の幅を広げている瀬戸璃子さん。取材当日も、映画の撮影が続いた慌ただしい日々を抜けたばかり。

「忙しい毎日にメディテーション感覚でやっているのは、ヨガと隙間時間のお絵描き。それでも疲れ切ったときは、小田原や静岡の海に思い立って行くことも多いんです。私にとって、自然に触れ合うことが自分の調律のためには本当に大事で」

東京で生まれ育った璃子さんにとって、自然との触れ合いは特別な時間でありながら、身体に馴染んだ“帰ってくる”感覚をもたらす瞬間。幼少期、キャンプ好きの両親に連れられて、小学生までに47都道府県を訪れたといいます。

「自然の中でも海に行きたくなるのは、水が好きだから。水って形がないから、なんていうか、破壊と創造を繰り返している、みたいに感じるんです。この前も徳島の渦潮を見て、人生で初めて景色の美しさで涙が出ました。水はいつ見ても感動します」

守られてきた、海と森のつながり

真鶴は神奈川県の西、湘南よりも静岡に近い小さな半島の町で、漁港としての役割を持っています。街なかでも、貝焼きや干物のお店を見ることができました。

そんな豊かな海の幸は、実は「魚つき保安林」という聞き慣れない名称のついた豊かな森があるからこそ育まれています。森が栄養を海へと運び、魚を育てる。森と海が切り離されることなく、昔から生態系の循環として機能してきたのです。

実はこの森は、江戸時代から保護されてきた場所で、明治以降は宮内省(いまの宮内庁)の管理地として守られてきた歴史があります。だからこそ地元の人からは「お林」の愛称で親しまれ、豊かな自然と食材の恵みを与えてくれる存在として崇拝されてきたのです。

木に個性を発見!全身で感じる真鶴の自然

気になった場所に迷いなく向かっていく璃子さん。不揃いでいびつな形の岩が連なる足元を確認しながら、一歩ずつ次の岩を選んで進みます。

「自然の中では、距離感に敏感になります。都心だと整頓された道とか建物ばかりだから、あまり考えずに歩けるけど、ここだと全身で空間把握をしようとしている感覚があってすごく気持ちいい!」

海では大好きな水と戯れてはしゃいでいた璃子さん。森に入ると、まるで『もののけ姫』のような神秘的な光景に息を呑みます。思考が途切れ、その代わりに音が立ち上がってくる感覚に。

「風の通る音とか、葉の擦れる音……。脳みそが一回ゼロになって、そのかわり細胞が開いて、音がいつもより大きく聴こえてくるような気がします」
「ツルツル、ガビガビ、サイの肌みたいな質感、産毛が生えているもの。木ってこんなに個性があったんですね。デザインしようと思ってできるものじゃないから、とてもかっこいいです」

次第に、一括りに“木”と見ていたものが、一本ごとの“個”として見えてくるように。

「木から見たら、私たちも一括りに“人”なのかなって。でもよくよく見るとみんな違う、っていうのと同じですよね」

森と海に囲まれた場所で、ただそこにいる。普段そこにあるのに気づきさえしないことが、身体が全身で感じられる。

「地球の一部になった感覚です」

真鶴は、木と同様に、人間も地球の一部であるということを思い出させてくれました。

▶︎後編に続く


瀬戸璃子(せと・りこ)

2001年6月10日生まれ、24歳。食べることをこよなく愛する俳優、モデル。2023年にボックスコーポレーションに所属。モデルでは「ピンクハウス」や「シープ」のビジュアルを担当、映画「ボウルミーツガール」で主演を務め、MOOSIC LUB2025にてベストアクター賞、札幌国際短編映画祭にて最優秀国内作品賞を受賞。7月は舞台「七つ数えて」@新宿シアタートップスに立ち、8月に公開となった映画「結局珈琲」に須藤役で出演し、活動を広げている。

STYLING

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